1、アトピー・アレルギーによる皮膚疾患
犬・猫の皮膚科外来では、アレルギー・アトピーが関与が疑われる病が増加しています。
アレルギー・アトピーは単独ではなく複合的に考える必要があります。
2010年にDr.Favrotによって発表された犬のアトピー性皮膚炎(atopic
dermatitis:以下AD)の診断基準
1 |
発症年齢が3歳以下 |
2 |
飼育環境の多くが室内 |
3 |
グルココルチコイドに反応する痒み |
4 |
慢性・再発性のマラセチア感染症 |
5 |
前肢に病変あり |
6 |
耳介に病変あり |
7 |
耳介辺縁には病変あり(最新のものでは除外) |
8 |
体幹背側には病変無し |
慢性の再発性の痒みを示す皮膚疾患で上記8項目中5項目以上該当するならば、 ADの可能性が非常に高い。
※感度85%、特異度79%の確率で診断
アレルギーの治療には、痒みを抑えるお薬を飲んだり、塗ったりする対症療法と、
アレルゲンから回避する原因療法があります。
これら2つの治療は、どちらも欠かすことの出来ない治療法です。
原因療法であるアレルゲンからの回避のためには、アレルゲンを知る必要があります。
アレルゲンを知ることで、体質も含めて計画的にアレルギー治療を実施できることになり、
お薬の長期使用による副作用を軽減することにもなります。
イヌの場合は以下の種類があります。
1. 生活習慣・環境の聴き取り
2. 食物除去試験および誘発試験
3. 皮内反応試験
4. アレルゲン特異的IgE検査
5. リンパ球反応検査
6. アレルギー強度検査
ネコの場合は以下の種類があります。
1. 生活習慣・環境の聴き取り
2. 食物除去試験および誘発試験
3. 皮内反応試験
上記の中で本当に必要な検査、試験を診察の中で相談していきましょう。
※当院では主としてIgE、リンパ球反応検査を利用しています。目に見えないアレルギー反応を定量化することで、治療の方向性を決める上での参考となります。
検査内容、費用内訳などの詳細は診察時にご説明いたします。
犬については治療方法は以下の選択肢があります。皮膚の状態確認後、相談の上、単独もしくは組み合わせて治療していきます。
1.ヤヌスキナーゼ阻害薬(アポキル)
2.グルココルチコイド
3.シクロスポリン
4.インターフェロン
5.減感作療法
6.シャンプー療法(薬浴)・スキンケア
7.サイトポイント(ロキベトマブ)
これらの治療法は、それぞれ特徴を持ち、メリット、デメリットがあります。もちろん、外用剤の使用、適切な薬用シャンプー、アレルギーフリーフード、特定たんぱく質の摂取制限などもしっかり行い、内服薬や注射薬に頼り切らないことがこの病気との付き合っていくことでもっとも重要です。これらの疾患は体質的要素が強いものですから、オーナーと我々獣医師、二人三脚で、家族であるペットのつらい痒みと向き合っていくのが大切であり、治るという甘い言葉に惑わされず、段階的に改善していくことが重要です!
当院ではマイクロバブル&ジェットバス&オゾン水を用い、より効果的な薬浴を施術しています。
一緒に頑張っていきましょう。まずは気軽にご相談ください。
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